南の島で暮らす5人の女子中学生が学校にダンス部を立ち上げてコンクールに参加する。国境を定める日本最南端の沖ノ鳥島と最東端の南鳥島を含む東京都小笠原村からの挑戦だ。小笠原中ダンス部2年で部長の中村実愛さんは「私たちのダンスは夏祭りと花火がテーマです。恋愛の爽やかな感じを表現するのを頑張りました」と意気込んでいる。
参加する2年生5人が暮らす父島は世界自然遺産の離島。東京の竹芝ふ頭から約千㌔で、航空路線はなく、定期船おがさわら丸で24時間。およそ週に1便しかないから「内地」に出かけるとすぐには帰れない。例えば、今年の修学旅行は11泊12日だった。そこで、遠方から参加しやすい、今年度に新設されたオンライン部門にエントリーした。踊った動画を提出し、実際のコンクールと同じプロダンサーらダンスの専門家に審査してもらう。
島は踊りが盛んだ。人口約2千人で、唯一の小笠原中は生徒約60人の小さな島ながら、ダンス教室がいくつもあり、サイパンあたりから伝わった「南洋踊り」が親しまれ、小中合同の運動会では全員が踊り、保存会で村長もリズミカルに踊りを披露する。
5人とも小学生の時からジャズダンスの教室に通い、運動会でも練習の中心になる「ダンスリーダー」を務めるなど、ダンスが大好き。ただ、入学したら中学校にはダンス部がなかった。昨年、部活動への入部希望を出すときに、山邊由茉さんが「ダンス部を作りたい」と先生に頼み込んだ。教員が足りずに顧問のなり手がいなかったため、願いは叶(かな)わなかったが、学校の許可を得て、昨年8月に神奈川県相模原市で開催された全日本小中学生ダンスコンクール東日本大会の「中学生部門・学校参加の部」に参加した。
引率する先生がおらず、家族…